この記事を書いた人:たーなー先生(田中直人)。ATO作詞作曲スクール 作詞コース講師・ボイストレーナー歴30年、延べ5万人以上を指導。テレビ東京『開運!なんでも鑑定団』エンディングテーマの作詞作曲(2021年・2025年)。作曲コースの講師は大場康司先生です。
最初の1行が書けないときは、「何を伝えたいか」ではなく「今日見た場面を1つ」から始めます。
- 場面を1つ決める
- その場面で見えたもの・聞こえたものを3つ書く
- いちばん小さなものを1行目にする
この順で進めると、1行目は10分ほどで出せます。
書けないのは、あなたの才能のせいではありません
「歌詞を書きたいのに、真っ白のまま」。作詞を始めたい人がつまずきやすいところです。原因の多くは、最初から「人の心に届くテーマ」「サビに残る一言」を探してしまうことです。大きなものを探すほど、手が止まります。最初の1行は「立派な言葉」である必要はありません。作詞全体の流れは作詞のやり方・歌詞の書き方にまとめています。
ステップ1:場面を1つだけ決める(2分)
テーマではなく「場面」です。条件は3つだけです。
- 時間が決まっている(今朝/昨日の夜/先週の日曜の夕方)
- 場所が決まっている(駅のホーム/台所/車の中)
- そこに自分がいた
例:「雨の日の帰り道、コンビニの前で傘を閉じた」。恋愛や人生の大きな話でなくてかまいません。
ステップ2:見えたもの・聞こえたものを3つ書く(3分)
文章にしなくて大丈夫です。名詞だけ並べます。例:濡れた靴/自動ドアの音/レジ横のあたたかい缶コーヒー。ポイントは、「気持ち」を書かないことです。気持ちは、ものの中に自然に入ってきます。
ステップ3:いちばん小さいものを1行目にする(5分)
3つのうち、いちばん小さくて、いちばん具体的なものを選び、「が」「を」「の」をつけて1行にします。例:「自動ドアが開く音で、傘をたたんだ」。うまい必要はありません。1行目は、2行目を連れてくるための「入口」です。
1行目が出たら
- 2行目は「そのあと見えたもの」を書く(ステップ2の残り2つが使えます)
- 声に出して読んで、息継ぎができる長さか確かめる(歌詞は、歌う人の息で長さが決まります)
最初の1行でやってはいけない3つ
- 「愛」「夢」「未来」のような大きな言葉で始める(場面が消えます)
- サビから書こうとする(最初は後で変えてよい)
- 書いた1行を、すぐ人に見せて評価をもらう(まず2行目まで進めてから)
1人で進めにくいときは
最初の1行は出せても、「この先をどう広げるか」は1人だと迷いやすい部分です。作詞作曲スクールの無料体験では、たーなー先生に、今お持ちの1行(または場面のメモ)を見てもらえます。何も書けていなくても大丈夫です。作詞コースの内容は作詞コースをご覧ください。
場面が浮かばないときは:書き出しの3つの型
場面がすぐに浮かばないときは、次の3つの型のどれかで、一文だけ書いてみてください。うまくいかなければ、あとで直せます。
| 型 | 向いている人 | 作り方 |
|---|---|---|
| 景色から始める | 景色が浮かぶ人 | 窓から見えるもの、季節、時間帯を一文で書く |
| 気持ちから始める | 言いたいことが先にある人 | 今の気持ちを短い言葉で言い切る |
| 問いかけから始める | 聞き手に語りかけたい人 | 誰かへの呼びかけや質問を一文で書く |
迷ったときの決め方
- 声に出して読んで、息が続く長さに収める。歌うときの息継ぎを想像しながら言葉を切ります。
- 最初の一行は、メロディーを付ける前の仮の言葉と考える。
- 3つの型で1行ずつ書いて、いちばん自分の声に近いものを残す。
テレビ東京『開運!なんでも鑑定団』のエンディングテーマ(2021年・2025年)の作詞作曲でも、言葉と声が合うかを、歌って確かめながら仕上げています。
年賀状の「一言」が書けないときは、歌詞の1行の作り方で書く
年賀状の一言は、「去年の景色を1つ」「相手に向けた言葉を1つ」「来年への一言を1つ」の3つを1文にまとめると、短くても気持ちが伝わります。これは歌詞の1行を作る方法と同じです。
定型の挨拶の下に添える一言は、短いぶん、言葉選びで差が出ます。この記事の「場面を1つ決める」と同じ考え方で、3つの材料から組み立てると、「今年もよろしく」から一歩出られます。
- 景色:去年の中から1つだけ具体的な場面(「海沿いの道を歩いた夏」「雨宿りした喫茶店」など)。名詞と動詞を1つずつ。
- 相手:その場面にいた相手に向けた言葉(「また会えて嬉しかった」)。名前を出さなくても、相手に向けた言葉になります。
- 来年:来年に向けた小さな約束(「また歩きましょう」)。大きな目標より、一つの行動のほうが届きやすくなります。
例文(すべて説明のために作った例です。自由に変えて使えます):
- 友人へ「夏に歩いた海沿いの道、楽しかったね。今年も、どこか歩きにいこう。」
- 職場の先輩へ「雨の日の打ち合わせ、いつも助けてもらいました。今年も教えてください。」
- 遠くの家族へ「正月に届くあなたの声が、毎年の楽しみです。今年も元気で話しましょう。」
- 恩師へ「あの日の言葉を、今も思い出します。今年も一歩ずつ進みます。」
- 疎遠になった人へ「ふと、あの店の前を通りました。元気ですか。」
形容詞を足すより見えたものを1つ書き、「ありがとう」「頑張る」の気持ちの言葉は景色の後ろに置き、1行で読める長さにする。これが歌詞の1行に近づけるコツです。気持ちを景色に預ける書き方は「歌詞の比喩の書き方」、冬の景色の拾い方は「冬の歌詞の書き方」にもあります。
言葉にするところから手伝ってほしい方は、作詞の無料体験をご利用ください。
1行目が出たら、次はサビです。サビの歌詞の書き方に進みましょう。
AIを使うかどうか迷う方は、作詞にAIを使うときのコツをご覧ください。
よくある質問
Q1. 3つのものが思いつきません。
場面を「昨日」から「今朝」に近づけてください。覚えている時間が新しいほど、ものが出てきます。
Q2. 暗い場面しか浮かびません。
歌詞は明るさを求められません。場面を選ぶだけで構いません。
Q3. 作曲ができなくても作詞だけ習えますか?
作詞コースがあります。無料体験で、作詞だけのご相談もできます。
Q4. 書いた歌詞は、誰かに見られますか?
無料体験の場で見せていただくのは、ご希望のときだけです。
Q5. AIで歌詞を作るのとどう違いますか?
場面を自分で決めると、AIを道具に使う場合でも「自分の歌」になります。AIの使い方は、レッスンの中でご相談ください。
Q6. 言葉が出てこないときはどうしますか?
景色・気持ち・問いかけの3つの型で、1行ずつ書いてみてください。いちばん自分の声に近いものを残します。
Q7. メロディーがなくても作詞できますか?
できます。ただ、声に出して読んで息が続く長さに収めておくと、あとで曲を付けやすくなります。
Q8. 年賀状の一言が思いつかないときは、どうすればよいですか?
去年の景色を1つ、相手への言葉を1つ、来年の一言を1つ、の3つを1文にまとめると書きやすくなります。長くせず、1行で読める長さにします。
Q9. 年賀状の一言は、何文字くらいが読みやすいですか?
決まった文字数はありません。1行で読める長さにすると、相手に伝わりやすいです。
Q10. ありきたりな挨拶から変えるには?
「今年もよろしく」の前に、見えた景色を1つ入れてみてください。名詞と動詞を1つずつ書くだけで、あなたの言葉になります。
場面のメモが1つあれば、そこから始められます。

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