曲先(きょくせん)とは、先にメロディ(曲)を作り、あとから歌詞をつける作り方です。反対に、先に歌詞を書いてからメロディをつけるのが詞先(しせん)です。
曲先で作詞するときは、次の5ステップで進めます。
- メロディを「ラララ」で歌って、音の数と長さを数える
- パートごとの役目(Aメロ・Bメロ・サビ)とテーマを決める
- サビの一番長くのばす音に、いちばん言いたい言葉を置く
- 1音に1文字が基本。ただし「きょ」「っ」「ー」などは1音にまとめたり、のばしたりして調整する(=譜割り)
- 実際に歌って、言いにくい所・聞き取れない所を直す
いちばん大事なのは「目で文字数を合わせる」ことではなく、「歌って自然に聞こえるか」です。
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この記事は、テレビ東京『開運!なんでも鑑定団』のエンディングテーマ(2021年・2025年)を作詞作曲し、ボイストレーナーとして30年・延べ5万人以上に歌を教えてきた、作詞コース講師のたーなー先生がまとめました。
曲先と詞先のちがい
- 曲先:メロディ → 歌詞。メロディの音の数と長さが先に決まっているので、言葉をそこにはめていく。今のJ-POP、アニメ・ゲームの曲、アイドルの曲、コンペ(曲の募集)では、曲先が多いと言われています
- 詞先:歌詞 → メロディ。言葉の意味やリズムに合わせてメロディを作る。昔の歌謡曲や、言葉をじっくり聞かせたい歌に多い作り方
- どちらが上ということはありません。曲先は「メロディの気持ちよさ」を守りやすく、詞先は「言葉の流れ」を守りやすい、というちがいです
- 外国の曲に日本語の歌詞をつける訳詞も、メロディが先に決まっているので、曲先と同じ考え方を使います(→ 訳詞とは)
曲先作詞の5ステップ
ステップ1 メロディを「ラララ」で歌って、音を数える
まず、もらったメロディ(または自分の鼻歌)を何度も聞いて、「ラララ」で一緒に歌います。そして、フレーズごとに
- 音がいくつあるか(何文字くらい入るか)
- どの音が長くのびるか
- どこで息つぎするか
を、紙に「○」で書き出します。長い音は「◎」、息つぎは「/」。これがあなたの設計図です。
プロの現場では、作曲家が仮の言葉(英語風の発音や「ラララ」)で歌った「仮歌(かりうた)」の音源をもらって、そこから作詞するのがふつうです。
ステップ2 パートの役目とテーマを決める
Aメロは場面、Bメロは気持ちの動き、サビは一番言いたいこと。パートごとの役目を先に決めておくと、言葉を探すときに迷いません(くわしくはDメロとは?曲の構成)。テーマの決め方は作詞の仕方の5W1Hが使えます。
ステップ3 サビの「長い音」に、いちばん言いたい言葉を置く
サビの中でいちばん高い音や、いちばん長くのばす音は、聞く人の耳に一番残る場所です。ここに曲名やキーワードを置きます。
- のばす音には「あ・お」など口が大きく開く母音が歌いやすい
- 高い音に「い・う」が来ると、歌う人が苦しくなりやすい
ボイストレーナーとして歌う側を見てきた経験から言うと、作詞の段階でここを気にするだけで、歌う人がぐっと歌いやすくなります。
ステップ4 譜割り(ふわり):1音に何文字のせるか
曲先作詞は「1音に1文字」が基本です。でも、それだけだと言葉が固く、歌うと不自然になることがあります。日本語には、次のように「1音にまとめられる文字」があります。
- 小さい「ゃ・ゅ・ょ」:「きょ」「しゅ」は2文字で1音
- 小さい「っ」:「きっと」は「きっ・と」の2音にまとめられる
- 「ん」「ー」:前の音にくっつけて1音にできる(「ぼくらはずっと」→「ぼ・く・ら・は・ずっ・と」で6音)
反対に、1文字を2つ以上の音にのばすこともできます(「あ〜い」のように1文字を2音に)。「一音に一文字だけじゃない」というのは、この譜割りのことです。
ステップ5 実際に歌って直す
書けたら、必ず声に出してメロディで歌います。
- 早口になって聞き取れない所はないか
- 言葉の切れ目と、メロディの切れ目がずれていないか(「あし/たは」のように言葉が途中で切れて聞こえないか)
- アクセントがおかしく聞こえないか
目で文字数が合っていても、歌うと不自然な所は必ずあります。ここを直す回数が、そのまま歌詞の完成度になります。
たーなー先生の現場から
作詞コースの体験に来られる方のノートを見ると、「文字数はぴったりなのに、歌うと言葉が聞き取れない」歌詞がとても多いです。原因の多くは、言葉の切れ目とメロディの切れ目のずれです。レッスンでは、その場で一緒に歌ってもらいながら、1か所ずつ言葉を入れかえていきます。
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曲先作詞でよくあるつまずき3つ
- 文字を全部の音に1つずつ入れて、言葉が細切れになる → 「っ」「ー」「ん」でまとめて、言葉のかたまりを守る
- メロディの気持ちと歌詞の気持ちがちがう(明るいメロディに暗い言葉など)→ わざとでなければ、メロディを聞いて浮かんだ景色から書く
- サビの頭が弱い → サビの最初の音には、意味の強い言葉(名詞や呼びかけ)を置く
自分のメロディで練習する方法
- 好きな曲のサビを1つ選び、「ラララ」で歌って○◎/を書き出す
- その設計図に、自分の言葉で歌詞を書く(替え歌づくり)
- 録音して聞き、聞き取れない所を直す
※できた替え歌は、練習として自分の中だけで使います。元の曲の歌詞やメロディを使って公開・販売するときは、権利者の許可が必要です。
曲先作詞をレッスンで身につけたい方へ
作詞作曲スクールの作詞コースは、たーなー先生のオンライン個人レッスンです。メロディに言葉をはめる練習、パートの役目、歌ってみて直す所まで、あなたの書いた歌詞を見ながら一緒に進めます。作曲コース(大場康司先生)でメロディを作り、作詞コースで歌詞をつける、という組み合わせもできます。
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よくある質問
Q1. 曲先(きょくせん)とは何ですか?
A. 先にメロディを作り、あとから歌詞をつける作り方です。反対に、先に歌詞を書いてからメロディをつけるのが詞先(しせん)です。
Q2. 曲先と詞先、どちらが多いですか?
A. 今のJ-POPやアニメの曲、楽曲の募集(コンペ)では曲先が多いと言われています。どちらが正しいということはありません。
Q3. 曲先で作詞するとき、1音に1文字が決まりですか?
A. 基本は1音1文字ですが、「きょ」のような小さい文字や「っ」「ん」「ー」は1音にまとめたり、1文字を2音にのばしたりして調整します。これを譜割りと言います。
Q4. メロディに歌詞がうまくはまらないときは?
A. まずメロディを「ラララ」で歌い、音の数・長い音・息つぎを紙に書き出してから言葉を探します。書けたら必ず歌って、聞き取れない所を直します。
Q5. 譜面が読めなくても曲先の作詞はできますか?
A. できます。仮歌の音源や鼻歌の録音を聞きながら、音を「○」で数える方法なら、譜面は要りません。
Q6. サビの歌詞はどこに何を置けばいいですか?
A. いちばん高い音や長くのばす音に、曲名やいちばん言いたい言葉を置きます。のばす音には「あ・お」など口が開く母音が歌いやすいです。

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