卒業ソングの作り方|感謝と旅立ちを1曲にする6つの手順

卒業ソングは、別れの寂しさと、これからへの期待を1曲に重ねる歌です。思い出の集め方から合唱で歌いやすいメロディまで、手順でご紹介します。

卒業ソングは、「別れの寂しさ」と「これからへの期待」を、同じ曲の中で順番に描くと、聴く人の心に残る1曲になります。思い出の場面を集めて、感謝の一言を決め、全員で歌いやすい高さのメロディに乗せる。この流れを6つの手順にまとめました。クラス・部活・サークル・職場の送別など、仲間で歌う曲を作りたい方にもそのまま使えます。

卒業ソングに入れたい3つの気持ち

卒業の歌が心に響くのは、いくつもの気持ちが同時に動くからです。歌詞を書く前に、どの気持ちを軸にするかを決めておきます。

気持ち 歌詞での表れ方 置きやすい場所
感謝 「ありがとう」を、場面の描写とともに伝える サビ、ラスサビ
寂しさ 変わらない教室や道を見て、いつもの景色が少し違って見える Aメロ、Bメロ
期待 これからの道、新しい季節、再会の約束 サビの後半、アウトロ

3つをすべて均等に入れる必要はありません。たとえば卒業生が歌う曲なら「感謝」が主役、在校生が送る曲なら「期待」が主役になりやすい、というように、歌い手の立場で自然に主役が決まります。感謝を主役にして寂しさと期待を添えるなど、軸を1つ決めると、曲全体のまとまりが生まれます。

作り方の6つの手順

手順1 誰が、誰に向けて歌うかを決める

卒業生が先生や後輩に向けて歌うのか、在校生が卒業生を送るのか、みんなで一緒に歌うのか。歌い手と相手を決めると、一人称と語りかけ方が決まります。

手順2 思い出の場面を5つ書き出す

「放課後の教室」「文化祭の準備の夜」「部室の前の階段」のように、場所と時間のセットで、5つ書き出します。大きな行事より、日常の小さな場面のほうが、全員が自分の記憶と重ねやすくなります。

手順3 感謝の一言を決める

「ありがとう」をそのまま使うか、「またここで」「ここにいてくれて」のような言葉にするか。サビの中心になる一言を決めます。

手順4 場面をAメロ、一言をサビに置く

書き出した5つの場面のうち、いちばん印象が強い2つをAメロに、次の2つを2番のAメロに置きます。サビは感謝の一言で、場面から気持ちへ、自然に着地させます。

手順5 全員が歌える高さと長さのメロディにする

合唱や全員で歌う曲は、音の幅を1オクターブの中におさめると、歌いやすくなります。サビの最高音は、無理なく出せる高さにします。

手順6 最後のサビを少し変えて締める

ラスサビは、同じ言葉を繰り返すだけでなく、「これから」を表す言葉を1行足すと、旅立ちの曲らしい終わりになります。

歌詞に使える場面の素材リスト

思い出を集めるときに、手がかりになる素材を表にしました。ここから選ぶと、全員が頷く場面が見つかります。

分類 素材の例
場所 校門、下駄箱、廊下、階段、屋上、グラウンド、部室、図書室
季節の景色 桜のつぼみ、夕焼け、雨の日の傘、冬のマフラー、夏の入道雲
日常の動作 ノートを回す、机を並べる、チャイムを待つ、並んで帰る
行事 体育祭、文化祭、合唱コンクール、修学旅行、部活の最後の試合
卒業の象徴 卒業証書、制服の袖、寄せ書き、写真、校歌

素材は名詞で拾い、動詞をつけて1行にします。「下駄箱」だけなら名詞ですが、「下駄箱の前で、少し立ち止まる」にすると、気持ちが映る1行になります。複数人で作る場合は、各自が素材を3つずつ書き出し、全員分を並べると、クラスだけの、世界に1つの歌詞の元になります。

全員で歌いやすいメロディの作り方

卒業ソングは、発表会やステージでみんなで歌う機会が多い曲です。歌い手の経験や声の高さが、人によって違うことを前提に作ります。

  • 音の範囲を1オクターブ以内にする:高すぎる音と低すぎる音を避ける
  • 1フレーズを短くする:息継ぎがしやすく、言葉が聞き取りやすい
  • サビを繰り返しの多い形にする:1回聴いたら覚えて歌える
  • テンポはミディアム:BPM 70〜90あたりのゆったりめが、気持ちをこめやすい
  • コーラスの重なりを後半に置く:最後のサビで、声が重なる感動が生まれる

メロディを作るときは、鼻歌から始めて、複数人で歌ってみて確かめてください。1人で歌うと簡単でも、大人数だとずれやすい箇所が見つかります。ずれやすい箇所は、音を伸ばす形に直すと、きれいにそろいます。練習の前に、全員で歌詞の意味を一度声に出して読むと、言葉の強弱がそろい、歌声にも一体感が生まれます。

1曲の構成の組み立て方

素材とメロディが揃ったら、曲全体の構成を決めます。卒業ソングは3〜4分の曲が多く、1番・2番・ラスサビの流れが基本になります。

パート 内容 気持ちの動き
1番Aメロ いつもの教室・通学路の場面 日常の静けさ
1番Bメロ 「もう最後なんだ」と気づく一行 少しずつ実感が湧く
1番サビ 感謝の一言 気持ちがあふれる
2番Aメロ 行事や部活など、別の思い出の場面 思い出が広がる
大サビ・ラスサビ 感謝に「これから」の言葉を足す 前を向いて歩き出す

1番では日常、2番では特別な思い出と、場面の種類を変えると、聴き手が飽きずに最後まで聴けます。ラスサビの前に、短い間奏や静かな大サビを置く構成も、感動を深める定番です。大サビでは、伴奏を少し減らして歌だけを聴かせ、最後のサビで全員の声が重なる流れにすると、ステージ映えもします。

もし寄せ書きのように、みんなの言葉を入れたい場合は、ラスサビの手前に1フレーズだけ、複数人のひとことを重ねる形が効果的です。長く入れず、短い言葉にとどめるのが、曲全体のバランスを保つコツです。

つまずきと直し方

つまずき 直し方
「ありがとう」ばかりで、ありきたりに感じる 感謝を、動作や場面の描写で表した行を1つ足す
しんみりしすぎる サビの最後に、再会や新しい季節を思わせる前向きな一行を足す
全員の気持ちに合わない 一人称を「僕」「私」から、「みんな」「僕たち」に広げる
高い音が出にくい 全体のキーを下げて、サビの最高音を歌いやすい高さにする

10分でできる練習メニュー

  1. 最初の3分:思い出の場面を、場所と時間のセットで5つ書く
  2. 次の3分:そのうち2つを、動作のついた1行にする
  3. 次の2分:感謝の一言の候補を3つ書き、声に出して選ぶ
  4. 最後の2分:選んだ一言に、鼻歌でメロディをつけて録音する

10分でできた1フレーズを、卒業ソングの種にします。種は、ひとりで育てるより、仲間に見せて育てるのがおすすめです。「この場面、覚えてる?」と見せると、仲間から新しい場面や言葉が返ってきて、歌詞が自然にふくらみます。みんなで作った歌は、歌うたびに作った日のことまで思い出せるので、卒業後もずっと歌い継がれる1曲になります。種ができたら、1週間かけて場面を足していくと、1曲分の歌詞が育ちます。

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よくある質問

卒業ソングは、みんなで作ることもできますか?

できます。各自が思い出の素材を3つずつ書き出し、全員分を並べて、共通の場面をAメロやサビに使うと、仲間だけの1曲になります。

卒業ソングのテンポはどのくらいが良いですか?

全員でゆったり歌えるBPM 70〜90あたりのミディアムが目安です。気持ちをこめやすく、息継ぎもしやすい速さです。

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